きれいなお嬢さんのチカラ
取材といっても、馴染みの顔ぶれのときには、
スタッフのようにコキ使われることも珍しくない。
そのときは次の巡業目的地まで荷物運搬車の運転。
もう20年以上も前の話だけど、でっかいワゴン車を
運転する自信がある者がいないというので。
軽飛行機に便乗して1時間のフライトのはずだったけど、
地図も積んでおらず、道路標識を頼りに8時間の道のり。
僕が抜けたことで空いた軽飛行機のシートには、
イベントを手伝ってくれた若い女性が乗ることになった。
きれいなお嬢さんで、他の同乗者は喜んだことだろう。
そっちが本当の狙いだったんじゃねえのかとか、
一人で峠を越えて、海沿いの田舎道をひた走った。
もちろん飛行機組は先に着いてくつろいでいた。
お嬢さんも初めての軽飛行機で喜んでいたけど、
助手席までぎっしり荷物で埋まったワゴン車を見て、
「これを一人で運転してきたんですか」としんみり。
いえいえ、お気遣いいただけただけで光栄です。
今になってみれば、軽飛行機でひとッ飛びするよりも、
いい思い出になっている。
それが、きれいなお嬢さんのチカラだ。
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