貯金100万円
独立したての頃には貯金する余裕なんてなかった。
撮影機材やワープロ、留守番電話(高かった)とか、
揃えなくてはならないものが多かったからだ。
もちろん取材に行くにも金がかかる。
だから「フリーなら貯金100万円くらいないと」と言われ
「あるわけないよな」と同業者にボヤいたときに、
「俺はあるよ」と言われたときにはショックだった。
確かに、舞い込んだチャンスをつかむためには
そのくらいの金が必要になることはある。
「取材を許可します。3日後にテキサスへ」と言われて、
「行く金がありません」では相手にされない。
よほど才能に恵まれた人ならば援助もされようが、
借金したところで若いフリーには返せるアテもないし、
僕ら凡人は自腹でチャンスをつかむしかない。
以来、「貯金100万円」はひとつの目安になった。
この金額の妥当性については、正直わからん。
新車ならば軽自動車すら買えない金額。
貯めるのは大変でも、消えるのはあっという間の金額。
でもキリがいいし、「余裕」としてはそこそこ心強い。
運転資金とは別に、チャンスをつかむための虎の子。
フトコロの潤沢な人なら鼻で笑うような話だろうが、
だからこそ、なければそういう連中とは勝負もできない。
昔の僕には、やはり「貯金100万円」とアドバイスする。
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