<那覇空港に設置されているTACAN(タカン。赤矢印)>
僕は昔、これを船舶用の灯台か標識灯だと思っていた。
そう確信していたのではなくて、なんとなく「そんなもんだろ」と。
すぐ近くには那覇港もあるから、そうであっても不思議はない。
だとしたら僕の守備範囲外だからと、あまり追求しなかった。
ところがあるとき、唐突に「あっ、TACANじゃねえか」と気づいた。
自衛隊の基地とかで見るのはもっとぶっきらぼうな形だし
こんな派手な色に塗っていないから、結びつかなかったのだ。
<昔は那覇のTACANもぶっきらぼうだった。高校時代に撮影>
TACANは戦術航法装置と訳される軍用の航法装置だ。
VORのように基地局からの方位を示すことができるほか
DMEのように距離も示せる。要はVOR/DMEの軍用バージョン。
ただしVORがVHFを使うのに対して、UHFを使うのが違い。
また距離測定機能だけは民間機もDMEとして使うことができる。
・・・といったって、軍はUHFで民間はVHFを使うんだろう。
どうして民間機でも軍のTACANをDME代わりに使えるのか。
実は民間機でもDMEには軍と同じくUHFを使っている。
民間のDMEの規格を定めるときには、
すでに広く普及していたTACANに合わせたからである。
だから「TACANはDMEのように使える」のも当然だろう。むしろ
「DMEはTACANが使えるように作られた」というべきなのだ。
ちなみに那覇空港には自衛隊の基地も併設されている。
管制業務や空港施設の保守などはCABが行っているが、
TACANについては自衛隊がやっているのかと思っていた。
けれどもこれもやはりCABの管轄だそうだ。