キッチンの窓の外でかわいい声がする、とカミさん。
我が家はマンションの4階だが、外壁に狭い張り出しがある。
そーっとのぞくと、そこにスズメくらいの鳥がうずくまっていた。
クチバシの様子や、羽根の生え具合からも、まだヒナのようだ。
巣から落ちたのだろうかと壁の上の方まで見てみたが、
巣を作れそうな場所なんかない。
かといって、こんなヒナがどこかから飛んできたとは思えない。
げー、いったいどうしたんだ、おまえ。
こちらを見上げても、まるで逃げようとする様子がない。
まだ人間とか、他の動物の怖さを知らないのか、
動けないほどに弱っているのか、あるいはケガをしているのか。
だが、どうする? 手を伸ばしても届く場所ではないが、
それでも手を出すと、エサをねだるように大きく口を開けて鳴いた。
「おまえ、腹へってるのか?」
だが、スズメのヒナは何を食うのだろうか。
虫、なんかないよ。仕方ないのでパンを小さくちぎって投げてみた。
見事にすぐ近くに落ちたが、まったく何の反応も示さない。
避けるでもなく、また食うでもなく、まったくの無反応。駄目だな。
それからWEBで「スズメ、ヒナ、保護」と検索をかけてみた。
「すずめSOS」というサイトにヒットした。
そこでいろいろ調べて、スズメではなくヒヨドリのヒナらしいこと、
巣立ちの練習中に迷い込んだ可能性があること、
その場合は近くに親鳥がいるはずなので、
心配でも何もしないで放っておくことと書かれていた。
近くに親がいるなら、僕らの気配がない方がよかろう。
半信半疑で引っ込んでいたら、本当にしばらくして
親鳥らしいのがやってきてチビを誘導して飛んで行った。
僕の部屋の窓から、それっぽい小さな影が飛んでいくのが見えた。
「おお~、本当に飛べたのかあ」と、少し感動した。
人間だって鳥だって、最初に飛ぶときは大変だよね。
人のことも怖がらずにピーチクいってる無邪気さが心配だが
なんとか元気で成長してほしいものだ。
大きくなったら、またいつでも遊びにおいで~。
しかし、いつもはうるさい鳴き声のヒヨドリなのだが
ヒナを呼ぶときはすごくやさしい声をだす。やっぱりお母さんだね。