謝らなくてもいいから
これまで何度かクレジットカードをなくしたことがある。
後から出てきたこともあるし、出てこなかったこともある。
どちらにしろ、なくした段階でそのカードは無効化するので
後から出てきたとしても、いろいろと面倒なことはある。
たとえば飛行機のチケットも、最近はインターネット経由で
クレジットカードを使って予約することが多い。
チェックインでは、予約で使ったクレジットカードを機械に通す。
ところが、予約時のクレジットカードは無効化してしまったから
新しいカードで飛行機に乗れるようにしないとならない。
X社に電話すると、カウンターの者に伝えておきますといわれた。
当日は有人カウンターで、特に問題なく簡単に手続きできた。
Y社の場合は、カウンターで書類を書けといわれた。
やれやれと老眼鏡を引っ張りだし、あれこれ記入していった。
これがけっこう面倒くさい。
しかも始末書でも書かされているような情けない気持ちになる。
Y社しか知らなければ「仕方ないな」と納得しただろうが、
X社ではこんな書類なんか必要とされなかったのだ。
とすると、これって僕にも航空会社にも無駄な手間なのかも。
「あのね、僕も財布をなくして落ち込んでいるんですよ。
もちろん財布をなくしてしまったのは、自分の落ち度です。
でも、そのうえでこんなものを書かされていると、
自分がすごく悪いことをして責められているような気になります」
書類を埋めながら、僕は率直に感想をいった。
あわよくば、それが改善につながればいいという気持ちもあった。
けれども彼女はひたすら「申し訳ありません」と謝るばかりだった。
日頃からカミさんには、「若い人にしてみれば
オッサンであるというだけで怖いのよ」と注意されていたので、
できるだけおだやかな口調になるよう努めたつもりだ。
「責めているんじゃないです。でもX社では書類は必要なかった」
そういう他社の例は業務改善のヒントになるはずだと思ったが、
彼女はやっぱり「申し訳ありません」と謝るだけだった。
たぶんこちらの言うことなんか聞かずに謝り続けているのだろう。
せめて業務改善のミーティングの話題にでもなればと思ったけど、
そんな可能性も低そうだ。きっと改善なんかできないだろう。
やはりクレジットカードはなくさないように注意しないと。
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