もう原発の金では地域は栄えない
取材で、福島第2原子力発電所を訪ねたことがある。
事故のあとではない。
1987年の夏、3号機まではすでに営業運転を開始しており
4号機は営業運転に備えて試験中、という頃だ。
放射線防護服を着て、バッチをつけて原子炉建屋にも入った。
だが何よりも印象に残っているのは、原発そのものよりも
周辺の街の、文化施設などの新しさと立派さだ。
補助金だの税金だのその他もろもろだので、
原発はその地域にすごい金を落とすことになる。
だから福島原発は第1も第2も、二つの町にまたがっている。
仲よくお金を分け合えるように、ということなのだろう。
たぶん全国の原発でも、同じような事情であると思う。
原発がこのまま再稼働せずに金が落ちなくなってしまったならば、
その地域の経済は、深刻なダメージを受けることになるだろう。
では原発が再稼働すれば、再び地域は栄えるのだろうか。
申し訳ないけど、僕にはそうは思えない。
いくら安全だといわれても、心配するなと言われても、
今さら原発の近くで暮そうという人はそんなにはいないだろう。
無責任に放射線ホルミシスを吹聴する連中だって怪しいものだ。
そこを故郷とする人たちも、特に子育てには不安を感じるだろう。
こうして人がどんどん少なくなってしまうような地域が
どうして栄えていくことができるだろう。
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