スピリット・オブ・デルタ
<デルタ航空本社地区に保存されている”Spirit of DELTA”>
1980年代初頭の規制緩和の波に乗り遅れたデルタ航空は
業績を大幅に悪化させて倒産の危機に瀕していた。
そこであるCAの呼びかけで社員が皆でお金を出し合い、
会社に飛行機をプレゼントした。それがこのボーイング767である。
かくしてデルタ航空は立ちなおることができましたとさ、という話は、
航空業界では美談のひとつとして語られている。
が、最初にこの話を聞いたとき、僕はあまり釈然としなかった。
「飛行機を1機プレゼントしたくらいで会社が立ち直るのかよ」とか。
もちろん、現実にはそれほど単純ではなかったはずだ。
でもこれは、単なる1機の飛行機ではなく、
文字通り「デルタ航空の精神」を象徴する存在として
一人ひとりのスタッフを鼓舞し、力づけてきたのだろう。
こうした「精神」を持たなかったパンナムはサッサと消え去ったし
(どうして最近またチヤホヤされるようになったのだろう)、
ノースウエストもデルタに統合されてからの方が評判がよくなった。
あいかわらず航空業界を取り巻く状況は厳しいけど
そんな時代だからこそ、この飛行機を見つめなおしたい。
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