腕時計を処分したりしなかったり
あまり使わない古い腕時計をいくつかオークションで処分した。
もう壊れてしまったものでも買い手がついたのには驚いたが、
多少でも価値を感じていただける人にお譲りできたのはうれしい。
ただし時計マニアだか業者だかをいたく刺激してしまったのもあり
質問欄で細かなことをしつこく聞かれたのには閉口した。
確かにSEIKOの技術史に名を残す名機ではあると自負している。
そして買う前にいろいろ確認しておきたいというのも理解できる。
だから最初はがんばって答えたが、だんだんウンザリしてきた。
そういえば使わなくなったカメラを安くヤフオクで売ったときにも、
「これは致命的です」と返品と返金を求められたことがあった。
こっちは昨日まで普通に仕事で使っていたカメラなんだけど、
それを千円とか二千円とかで誰か使いますかってことなのに、
どうやらカメラマニアの人の眼はプロよりも厳しいらしい(苦笑)。
もう、そういう面倒な連中とは関わりになりたくないと、
今回の腕時計は入札がつく前に出品を取り下げた。
僕の手元に残して、ただ朽ち果てさせてしまうのは哀れだが。
※ただのイメージ写真です。
ふと思いついて、中学時代の友人の近況を聞いてみた。
お父さんが吉祥寺で小さな時計店を営んでいたはず。
吉祥寺に住んでいた頃はよく時計を修理してもらったものだ。
もうかなりのご高齢だが、まだお元気で営業しておられるという。
成蹊大学に近い、五日市街道ぞいの本橋時計店。
天気のいい日にバイクで行ってみると、ガラス戸を通して
ひだまりで気持ちよさそうに居眠りしているご老人が見えた。
もう顔は忘れてしまったけど、本橋くんのお父さんに違いない。
「どうしようかなあ」としばらく悩んだけど、
思い切ってご老人を起こして(笑)、オーバーホールをお願いした。
僕がはじめて自分で稼いだ金で買った腕時計である。
オーバーホールが終わったら、また特別な思い出が加わる。
そのうちに小僧が珍しがって使うかもしれないね。
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