シドニー往復格安30万円
1977年にはじめて羽田空港からアメリカに旅立ったとき、
「一生のうちにもう一度くらい海外に出られるのだろうか」と思った。
最初の渡米のために、僕は工事現場で半年アルバイトをした。
もちろん、その間の生活費は親がかりだった。
だけど社会人になったらそういうわけにはいかないだろう。
そもそも食っていく自信もなかったのだから海外どころではない。
その当時の格安航空券の代理店からの年賀状がでてきた。
1978年の年賀状だから、33年と半年前のものだ。
まだエイチアイエスも設立される以前で、こういう会社は
たいてい雑居ビルの小さな一室とかで細々と営業していた。
大手の代理店から航空券を買うよりもはるかに安かったものの、
それでもこの金額なのだから、やはり海外は遠かったのだ。
ちなみに4年後に大学を卒業するとき、
大卒サラリーマンの初任給は平均12万8千円といわれていた。
まだ大学生が卒業旅行なんか行くような時代じゃなかったが
卒業の翌年に僕は二回目、三回目、四回目の海外渡航をした。
さらに翌年は五回目、六回目、七回目、八回目と。
そのころが、ちょうど時代の大きな変わり目だったように思える。
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