エンジニアは鬼の如くあれ
これはオリンポスの四戸哲社長の原発事故に寄せての言葉だ。
東日本大地震から5日目に同社のホームページに書いていた。
「これほど脆弱なシステムを構築し、認証し、管理してきた
技術力は、そもそも原発を担えるだけのものだったのでしょうか」
と疑問を呈し、さらに「事態の打開にあたり、エンジニアには
善意や誠意は必然ではありません。
冷酷なまでに結果が全てです」と続けている。
その締めくくりが「エンジニアは鬼の如くあれ」という言葉なのだ。
これを読んだとき、「ずいぶんと厳しいなあ」と思った。
正直なところ、厳しすぎるんじゃないかとも。
原発事故は深刻だが、「想定外」という事情も理解できる。
どんな技術だって想定を越えた事態に直面すればお手上げだ。
それはエンジニアの一人として四戸さんだってわかっているはず。
だけど地震から2ヶ月をへて、いまは四戸さんが正しかったと思う。
原発の「想定」は、それを口実にできる以前の甘さだったのだ。
四戸さんは小さいながらも(失礼)航空機メーカーの社長である。
つまり自分で設計し、自分で作った航空機で人を飛ばす。
そこに何か失敗があれば、人を殺すことになる。
僕は飛行機のパイロットでもハンググライダーのパイロットでも、
自分の手で空を飛んだことのある人にはある種の共感をおぼえる。
それは自分の命をダイレクトに自分の手にゆだねるという、
そんな厳しい体験を共有しているからだろうと思っている。
だけど自分で作った飛行機で他人を飛ばすのはさらに厳しい。
そんな仕事をしている四戸さんだからこそ、
原発エンジニアのぬるい想定は我慢できなかったのではないか。
| 固定リンク