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2010/10/04

デジタル一眼で「処理なし」はない

僕が最初にデジタル一眼レフを買ったのは2005年のことだ。
A380のロールアウト取材出発の前夜にヨドバシで買った
それまではフィルムで取材するつもりだったのだが、
セレモニーを屋内でやると聞いてあわてて買いにいったのだ。
当時のデジイチは総合性能ではフィルムカメラ以下と思ったが
高感度ではザラザラとしたフィルムよりもマシだったし
ホワイトバランスがとれるので人工照明下でも色をだしやすい。
使い方もよくわからないでぶっつけ本番はかなり怖かったが。
Sq380_030_1
デジタルになってとりわけ悩んだのは「ピントの悪さ」だ。
当時は「カメラマンはシャープネスをいじるな」と指示されていた。
みんな画像処理が未熟で目茶苦茶やっていたから仕方ない。
さらに露出補正も色補正もすべて印刷所にまかせろといわれた。
僕も自分の画像処理に自信があるわけではなかったので
RAWデータをシャープネスゼロのままJPEG現像だけして入稿。
だがPC画面で見たときのピントのなさに落ち込む日々が続いた。
Ana744d
その頃、キヤノンのサービスセンターで怒鳴っている人も見かけた。
「シャープネスかけないとピントが合って見えないのって欠陥だろ」
デジタルというのはそういうもの、とは理解されていなかった。
「写真は撮ったその瞬間が勝負。あとでいじったりするのは邪道」
当時は多くのカメラマンが、まだそんな風に考えていたはずだ。
いや、いまでもそういうアナログ頭の人はけっこういる。
デジタルカメラというのはまるでちがうということを理解していない。
Empennage
いまは僕は現像するときに普通にシャープネスをかける。
色補正もするし、露出やコントラストも整える。
どうも印刷所も忙しくて、いちいちやっていられないようなのだ。
こうした後処理を考えて露出オーバー気味に撮影することもある。
アンダーから補正するよりも結果がよく安全なのだ。
一方で「俺はJPEG撮影で一発勝負する」と豪語する人もいる。
男らしいみたいだけど(苦笑)、デジタルをわかっていない。
JPEGで一発勝負といっても、カメラの設定はしているだろう。
シャープネス、色合い、コントラスト、あるいはピクチャーモード。
自分でセットしなくても、カメラを買ったときから設定されている。
事前にこうしたパラメーターを決めてやるのと、
現像時にパラメーターを決めるので違いがあると思っているのかな。
フィルム時代でも、暗室作業が仕上がりを大きく左右した。
デジタルの後処理は、それよりさらに「撮影」に近い。
だから邪道でもないし、おざなりにしてもならない。
Night_stay
一方で「後処理を大切に」といわれて画像をいじりまくる人もいる。
いや、それでもいいんだけど…、なかなか伝わらないもんだなあ。

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