補助翼と副翼
外国語を日本語に翻訳するのはむずかしい。
すでに訳語のある言葉はいいが、なければ自分で作る。
それが定着すれば、晴れて日本語の単語になるわけだ。
が、必ずしもそれがいい訳語だとは限らない。
たとえば航空関係でいえば、最低の訳語は「補助翼」だろう。
エルロン(AILERON)の訳語だが、なにを「補助する翼」なんだ?
エルロンは飛行機をロールさせる(左右に傾ける)ための舵だ。
ちなみに垂直尾翼にはラダー(RUDDER。方向舵)という舵もあり
名前からすると、これで飛行機の向きを変える=旋回させる、と
誤解してしまう人もいそうだ。
しかし実際には、旋回の主体はラダーよりもエルロンである。
ならばこれは「旋回舵」とかにした方がわかりやすかったのでは。
あるいは「横転舵」といってもいいし、
カーチス機のように独立した翼ならば「旋回翼」にしてもいい。
もともとのエルロンという言葉自体がわかりにくいせいもあるが
とにかく「補助翼」という訳語はどうしようもなくひどいと思える。
ちなみに中国では、エルロンはどう表記されるのか調べてみた。
「副翼」だって…?
これまた御愁傷様です(笑)。
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