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2010/09/08

本当は裁判員制度なんかいらないけど

裁判員制度が導入された理由のひとつは
それまでの裁判が一般人の常識では理解しにくかったこと、
さらにいえば「釈然としない」ことが多かったからだと思う。
僕自身、裁判というのは法律の専門家が法の網をかいくぐり
いかに自分に都合のいい結果を出すかの勝負だと思っている。
たとえ「それって、どう考えても変でしょ」と皆で思っても、
「でも法律ではこうなるのだから」と押し切れた方が勝つ。
そんな風に思うのは、僕も裁判に巻き込まれたことがあるからだ。
Shinjuku_buildings
以前住んでいたマンションのオーナーが訴えられて、
なぜかついでに賃貸の住人全員も訴えられてしまった。
ただそこを借り、暮らし、きちんと家賃を払っていただけなのに。
「そんな馬鹿な話があるかい」と、訴えた側の弁護士に連絡した。
言い分は理解してくれたと思うが、状況は変わらなかった。
弁護士は依頼者の、さらには自分の利益を追求するのが仕事だ。
そこで良識や常識、正義を語ってもまるで意味がないとわかった。
僕は自分では立派と思う意見書を書いて裁判所に出すことにした。
一人で戦って、もちろん勝つつもりだったが…。
Qatar
ちょっと不安だったので(笑)、信頼できる弁護士に相談してみた。
状況を聞いた弁護士は「ああ、このままでは勝てないな」といった。
「どうして?」と自らの常識を根拠に驚いた僕が甘かったのだ。
結果的に、その弁護士のおかげで訴えは取り下げられたが、
「法律の使い方」を知らないと大変な目にあうと痛感した。
また漠然と「正義の味方」と思っていた弁護士像も崩れ去った。
尊敬できる、いい弁護士もたくさん知っているが、
全体的には悪いイメージの方が勝ってしまった、残念だけど。
Fra_swan
僕が巻き込まれたのは民事だったけど、
「これって変じゃない?」と思うのは刑事も同じだ。
たとえば殺人事件でおなじみの「精神鑑定」とか「責任能力」とか。
人を殺すなんて、まともな精神状態ではできないのだから
多かれ少なかれ精神には問題があるんじゃなかろうか。
でも精神鑑定をして、異常ならば罪を問えないとは理解できない。
その妥当性や根拠は法律の専門家にも何度か質問してみたし
資料もずいぶん読んでみたのだが、さっぱり納得できない。
でも弁護側は、それを何度も繰り返し前面に押し出してくる。
そんな姿勢も裁判員制度ができた理由のひとつと思っている。

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