設計者の想像力
昔、日産の桜井眞一郎さんをインタビューしたことがある。
R31スカイラインの開発が進められていた頃だと思う。
その先代のR30からRSというスポーツモデルが登場していたが
「これにはまだGT-Rという名前はつけられません」といっていた。
GT-Rは単に一番強力なグレードにつける名前ではない。
そんな特別な思い入れを、そのときに感じた。
すでに「スカイラインの父」といわれる大御所だったが、
そうとは知らぬ門外漢なので、若造でも緊張はしなかった。
桜井さんも楽しそうだったと、あとで広報の方から聞いた。
「スカイラインというと、だいたい精神論みたいな質問ばかり」
そんな取材ばかりで、ウンザリしていたのかもしれない。
僕は知識が飛行機ベースなんで「スピリッツ」とは無縁である。
そして桜井さんは日産とはいえプリンス自動車出身とあって、
飛行機に脱線しがちなこちらの質問にもよく答えてくださった。
いうまでもなくプリンス自動車の前身は中島飛行機である。
入社当時の資料室には航空関係の工学書がたくさんあったけど
実際に作るのは自動車の方がむずかしいだろうと言っていた。
フライトごとに、また定期的にプロによって点検・整備され、
訓練されたパイロットがよく制限を守って飛ばす飛行機に対して
自動車は想像もしないような使われ方をすることがあるからだ。
そういう意味ではバイクも同じかもしれない。
<お母さんの背中にもう1人、5人までは楽勝かな>
危ないけどバイク自体に不安は感じられない。立派な機械だ。
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