英語を勉強しなくちゃ
大学浪人中、はじめての渡米から帰って痛感したのは、
たぶん誰もが考えるのと同じ、「もっと英語勉強しなくちゃ」と。
まるでそんなタイミングを見計らったかのように、
高価な英語教材のセールスの電話がかかってきた。
いまなら簡単に断わってしまうところだが、うぶな十代の頃である。
しかも電話の声は魅力的な(たぶん…笑)若い女性だった。
さらにググッと心動いたのは、会員になれば語学力向上だけでなく
海外の情報を集める手助けもしてもらえるという説明。
ガイドブックに出ているところをまわるような観光旅行と違って、
昔の飛行機マニアの旅は情報を集めるのがきわめて大変だった。
周囲に海外旅行の経験者はほとんどいなかったし、
もちろんインターネットなんかなかった。観光局に行っても
「どの基地でどんな戦闘機が撮れるか」なんてわかるはずがない。
ということで「海外のプロ」の情報収集力は魅力的に思えたのだ。
待ち合わせたのは吉祥寺駅近くの喫茶店だった。
期待通りに、きれいな女性だった(実はよく覚えてないけど…笑)。
僕はたぶん英語や事前の情報収集で苦労したことなどを話し、
そういうのが解決できるならばやりたいとか言ったはずだ。
英語教材の会社にとってはいいカモだったはずだが、
その女性は、「たぶん期待には応えられないと思う」といった。
すごく残念だったけど、僕はその英語教材を買うのをやめた。
いま思えばそれは正解だったし、
なによりもその女性の誠実さにも感謝している。
その後、そうした高価な英語教材は少し社会的な問題になった。
たぶん売る方も良心の呵責に苦しむことがあったに違いない。
それきり会ってないけど、幸せに暮らしておられることを祈りたい。
大学に入ってから、僕は友人とそんな話をしたことがあった。
その友人は、「実は…俺は買った」と言った(笑)。
やはり、担当者はきれいな女性だったそうだ(爆笑)。
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