ストレークとチャイン
最近の旅客機にはナセルにフィンをつけているものが多いが
その最初はマクダネルダグラスDC-10だったかもしれない。
<DC-10ベースの空中給油機、KC-10>
エンジンナセルの両側に大きなストレークが見える。
エンジンは飛行機を前進させるために必要不可欠なものだが
そのナセルの乱す気流は主翼にも悪影響をおよぼす。
レシプロ機の時代でしばしば問題となったナセルストールが
太い高バイパス比ターボファンの登場で再び深刻化してきた。
それがDC-10の風洞実験でも明らかになり、
とりわけ離着陸時の最大揚力係数が十分ではないことがわかった。
その対策としてナセル両側にストレークが追加されたのである。
高迎角時にはこのストレークから発生する渦が主翼上面に流れ
乱れてはがれそうになった(失速しそうになった)気流を整える。
要するに巨大なボルテックスジェネレーターである。
同様の問題は他の高バイパス比エンジン装備機にもあり、
最近ではほとんどの機体がナセルに似たようなフィンをつけている。
が、マクダネルダグラスはストレークの特許を取ったという話もある。
ならばライバルだったボーイング(いまは両社は統合している)は
マクダネルダグラスに特許料を払っていたのだろうか。
…どうも、払わずにすませていたらしい。
マクダネルダグラスは両側が対のストレークの特許を取ったが
ボーイングはこれを片側だけにつけて回避したようなのだ。
しかも名称もストレークではなくチャインにしたとか(笑)。
エアバスはどうしているのかなあ。
ANAのA320とか片側(内側)だけにつけているようだけど…
<フロンティア航空のA319。両側につけているみたい>
そういやA321も両側についていたかな。
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