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2010/01/16

堕ちていく気分

最近のアメリカでは特に物乞いが多くなったように感じる。
ヤニしていて、煙草をねだられるのはどこでも日常茶飯事。
これはそのときの気分であげたりあげなかったり。
きれいな身なりの若い女性に「5ドルくれませんか?」と
いわれたこともある。サンフランシスコだった。
財布を忘れて帰りのガソリン代がなくなってしまったという。
嘘だと思ったらすぐそばに車があるからともいわれた。
車はあるかもしれないけど、たぶん嘘だろうなと思った。
いかにも嘘くさかった。でも、5ドルあげた。
ちょっと惜しかったけど、そのくさい演技に対して払ったつもり。
喜んでいたけど、落ち込んだろうな。自分が堕ちていく気分で。
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ある出版社から「阿施さんですかあ」と電話がかかってきた。
調子のよさそうな、若い男の声。
僕は電話勧誘は丁重に?お断りするが、出版社からの電話だと
仕事の依頼という可能性もあるから、ちゃんと話を聞かないと。
「昨年5月くらいにご挨拶だけさせていただいたんですが、
ごぶさたしております。覚えていらっしゃいますかあ」と言われた。
僕は、ちょっと挨拶したくらいの人の名前を覚えるのが苦手だ。
どこかの取材で一緒になったんだろうかと焦って記憶をたぐった。
うむむ…。しばらく黙り込んでしまった僕に、男は続けた。
「そのときは玄関先でご挨拶だけさせていただいたんですが…」
おっと、これで仕事の依頼ではないらしいと確信した(苦笑)。
「どんな玄関でしたか?」「うちは何階建てでしたか?」
問い詰めると、男はだんだんしどろもどろになってきた。
「あなた、僕と会ったことはないでしょう」
そういうと、男はそそくさと電話を切ろうとした。
切られる前に「卑怯者」といって、こちらから電話をきった。
普段は逆恨みされるとイヤだから、そんなことはしないのだが。
San_francisco_002_1
あとで調べたらその出版社は実在するが、
自費出版で自分史を作るというのがメインの会社のようだった。
自分史を売るのもいいが、売り方は気に食わない。
会社のやりかたとしてそんな指導をしているのかな。
まだ若そうな声だったけど、そのまま堕ちないといいね。

こんなことを書いた直後に某生命保険会社からカミさんに電話。
最近、というか前から契約内容を見なおさないかとしつこい。
「留守だけど、セールスですか。だったらお断りします」
「いえ、保険内容の確認などのためです」
大事な用事なのかな。折り返し電話すると言って番号を聞いたら
妙に反応がうれしそうだった。
大事な用事があるなら、折り返しで電話するのは普通だろうに。
「まさか保険内容の見直しの勧めとかじゃないですよね。
何度かクレームしてもやめないんで、うんざりしているんですけど」
やはり相手は口ごもってしまった。まったく、どいつもこいつも。
San_francisco_003_1
やれやれ…。

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