未来はさりげなく
1970年の未来は、まだキラキラしていた。
すでに人類は月に足跡を残し、コンコルドも初飛行していた。
21世紀にはドームで囲まれて、チューブの中を車が行き交う、
そんな「未来都市」が実現しているのだろうと思っていた。
当時、僕はまだ小学生。
そんな幻想が崩れたのは石油ショックのせいだけではあるまい。
たとえばマンションを買うと、30年くらいのローンを組む。
大地震でもなければ、そのマンションは30年は建っているだろう。
まるで未来的ではない、普通のマンションが30年後もそこにある。
「ぜんぜん未来っぽくないじゃん」
ということに、気づいてしまったのである。
実際、21世紀の街並みはぜんぜん未来っぽくなっていない。
<未来ってけっこう地味かも…>
ただ、20世紀のマンションに昔ながらに暮らしていても、
僕たちの生活は着実に変わっている。
未来はさりげなく、身の回りに染み込んできているのだ。
<未来の工事現場>
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