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2007/06/28

ウィキペディアにタメイキ

インターネットのフリー百科事典ウィキペディアは便利だけど、
その情報は玉石混交。必ず裏を取るようにしないといけない。
まあ、それはどんなメディアでも同じだけど、とりわけ。
もちろん僕の「かぜたん」だって、あるいは印刷物になった記事も
間違うことはある。でも、その責任は阿施光南が負う。
署名記事というのは、自己顕示ではなく、そうした覚悟なのだ。
ウィキペディアの文責は筆者が負うそうだが、ほとんど匿名と同じ。
正体を隠したまま「私が責任を負います」って…無責任じゃない?

たとえば二宮忠八さんの項を見ると、
「自筆の設計図を元に制作されて飛行実験に成功した事で
彼の飛行理論の正しさは証明された」と書かれている。
…そうなのか? いったいどんな飛行実験に成功したのだろう。

僕の知る限り玉虫型飛行器に最も忠実に作られて飛んだのは
讃岐ウイングスラジコンクラブの方が製作されたラジコン機と
RC飛行機実験工房の方が製作されたラジコン機くらいだ。
いずれも製作過程とフライトの様子がWEBで公開されているが、
どう考えてもまともに飛ばない設計を活かすために
大変な工夫を重ねていることがわかる。
「でも、最後は飛んだのでしょう」というのはオメデタすぎるだろう。
似せて作ったのは基本形だけで操縦系統はまるでちがう。
オリジナル通りではどうにもコントロールできなくて、
最後は主翼にエレボンをつけなくてはならなかった。つまり、
最も重要な操縦装置は後世の智恵に頼らざるを得なかったのだ。
これを読むと、本物の玉虫型飛行器が作られていたとしても
やはりちゃんと飛ぶことはできなかっただろうと確信できる。

もうひとつ「飛んだ」といわれる玉虫型ウルトラライトはどうだろう。
Tamamushi05a
うねった主翼こそ似せて作られているが、
設計通りでは飛ばないのがわかっているから尾翼をつけた。
基本的には二舵式だが主翼にはスポイラーも追加されている。
Tamamushi05b
それで確かに地面からは離れたが、
横風に流されたまま修正できずに観客席に突っ込んでしまった。
その状況は航空事故調査報告書(92-4)に詳しく書かれている。
これで「彼の飛行理論の正しさは証明された」といえるのだろうか。

だから皆でウィキペディアに参加してよくしていきましょう…って?
匿名で?

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