と、僕は思っている。どうしてこういうカタチなのか、
どうしてこんなものがついているのか。
どれもちゃんと理由があるはずだから、それを考えるのが楽しい。
で、700系新幹線のウインドシールドの上には把手がついている。
メカというほどかはともかく、これにもちゃんと理由はあるはず。
予想では窓拭きとか、ワイパーの修理とか、ガラスの交換とか、
そういう作業のときに体を支えるのに使うのだろう。
なにしろ新幹線のノーズはツルツルでひっかかりがない。
把手で空気抵抗や騒音は増えるが、整備性はよくなるはずだ。
ただし同じくツルツルのスカイライナーには把手がついてないし、
JR東日本系の新幹線にもついていないのが気になったけど。
鉄道の本も作っている編集者に聞いてみたら、
よくわからないと、そっち方面に詳しいライターにあたってくれた。
その人も、あちこち調べてくれたそうだ。ありがとうございます。
やはり車庫での作業のときに、命綱をかけるのに使うらしい。
でも今回いちばん楽しかったのは、鉄道の編集者やライターが、
僕のような素人の質問に「うっ」と思ってくれたこと。
とんだ手間かけておきながら、まったく失礼な話だけど、
これまであんまり気にしていなかったらしい。そういうもんなのか。
それでも「んなものど~でもいいじゃん」ですまさないところに、
専門家としての心意気みたいなものが感じられてよかった。
さらに失礼を重ねるようで本当に恐縮だが、
実は次に新幹線に乗ったときに車掌さんに聞いて答も知っていた。
「これは『くら』で作業するときに使うんですよ」
これまた僕のような素人に平気で「くら」という業界用語を使うのが、
職人さんぽくて悪くないなと思ってしまったのだけど。
雨の日に車体表面を流れ落ちる水が入り込まないよう
ドアの上には雨どい代わりの細長い板が取り付けられている。
これも「ちゃんと理由のあるカタチ」のひとつ。