« 薔薇の花にかこまれて | トップページ | 大人買い »

2006/12/15

イギリスの空飛ぶベッド

Fbs01
航技研のFTBの先輩にあたるロールスロイスのVTOL実験機。
「推力測定装置」などという味気ない名前がついているが、
「フライングベッドステッド(空飛ぶ寝台)」という愛称の方が有名。
ニーンエンジン2基を装備して垂直離着陸実験を行なった。
ちなみにニーンエンジンはほぼ横向きに装備されており、
その排気を下向きに偏向して垂直方向の推力を得ていた。
熱いジェット排気を強引に偏向するペガサス・エンジンの手法が、
ここですでに試されていたのだろう。
機体の四方に突き出すダルマストーブの煙突みたいなのは、
姿勢制御用の圧縮空気を噴射するためのもの。
ベッドとはいっても、パイロットは座って操縦する。
初飛行は1954年。航技研のFTBが飛ぶ16年前だ。
現在はロンドンの科学博物館の天井から吊るされている。

Sc1a01
そのすぐ近くに、大胆にも横向きに展示されているショートSC.1。
これはリフトエンジン4基と前進用エンジン1基の計5基を装備。
実験機とはいえ「エンジンを運ぶだけじゃん」とかいわれそうだな。
燃料タンクの容量は小さいのに、燃料消費率は大きい。
着陸前、4基のリフトエンジンの始動はとても忙しかったという。
早く始動しすぎても、始動に手間取ってもガス欠で墜落しそうだ。

でもなんだかんだいっても、イギリスはVTOL機をモノにした
その夢にかける執念は立派だと思う。

|

« 薔薇の花にかこまれて | トップページ | 大人買い »