昔、模型作りがヘタだったあなたに
一時、ヤフオクで古い戦車プラモを買いまくっていた。
ラジコンや有線リモコンではなく、モーターで走るだけの戦車。
それで本の束だとか布団の山とかを乗り越えさせる。
そんなシンプルな経験が幼い小僧には絶対に必要だからだ。
<キャタピラは男のロマン…だろ。戦車じゃないけど>
しかし最近の戦車のプラモデルときたら
ほとんどがリアリティ重視の走らないものばかり。つまらんぜ。
つーわけで、大枚はたいて絶版模型を買いまくった。
もちろん絶版だろうが高かろうが片っ端から容赦なく作る。
大切にしまっておいてもゴムキャタピラが腐るだけだ。
子供の頃、モーターライズのキットをちゃんと動くように作るのは
とても大変だった記憶がある。たぶん半分は、失敗に終わった。
ロクにバリを削りもしなかったんだから当然だよなと思っていた。
だが、いまは細心の注意を払って作ることができる。
仮組みをして、各部をすり合わせ、グリスで注油をして、
配線はハンダ付けまでしてしまう。完璧である。
…が、やはりちゃんと動かないキットがけっこうあった。
シャシやギアボックスの剛性が低すぎて、試験では快調なのに
キャタピラを張ると歪みでギアが空回りしてしまう戦車もあった。
ほとんどフルスクラッチ気分で補強したり補修したりしたが
どうにもならないでゴミ箱行きになった戦車も数知れず。
それでようやくわかった。
昔つくったモーターライズのプラモデルが動かなかったのは、
子供の未熟な製作技術のためだけではなかった。
もともとのキットの作りがズサンすぎたのである。
昔つくった模型が動かなかった思い出がトラウマになっている
中年のおっさんたちに「もう自分を責めるな」といいたい。
僕はけっこう金をかけて検証したのだ。間違いない。
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