雨の都市伝説
たいした雨ではなかったが、あちこちで傘が開いていた。
あたりまえのようだが、若かった僕はとても驚いた。
少しの雨で傘をさすのは日本人くらいで、
欧米人はあまり傘をささないと聞いていたからだ。
「やっぱ、これも迷信だったのかな」
海外旅行がかなり一般的になってからも、
この手の「海外では…」という話は後を絶たない。
全部デタラメとはいわないが、あまり真に受けるとバカをみる。
「ステーキは斜めにするとよく切れるんだ」
もちろん真剣に試してみましたとも。
フォークの背にライスを乗せるなんて、できなくてよかった(笑)。
「欧米の男の人って、パンツはかないんだってね」
だからYシャツの前後がタレているのだという解説つき。
うーむ、男同士で確かめたことないけど、たぶんパンツはいてる。
「太っている女性は金持ちと思われて、もてる」
うそばっかり…って、怒っていた女性を知っている。
「ブランド品ってのは本来は貴族が買うものなんだ。いまでもね」
それだけで商売が成り立つといいですな。
ところで銀座あたりの直営店は、日本の貴族向けですか。
「フランス人はイジワルで英語を話さない」
なるほど、日本人が英語を話さないのと同じ理由ってことか。
美しい国…(爆笑)。
まだまだ、いろいろとあって退屈しない。
ちなみに僕自身は、あまり傘をささない方だ。
もちろん西洋かぶれというわけではなく、面倒だから。
ちゃんとした用事があって濡れていったら失礼なとき、
カメラなど濡れたら困るものを持っているときなどは別として、
近所をブラブラするくらいなら濡れても気にならない。
というわけで雨にのんびりうたれて歩いていたら、
知らない女性が傘をさしかけてくれたことがある。
「まだお若いのに、いけませんよ」
その言葉から推察できる通り、年配のご婦人だった。
チェルノブイリ原発事故のあとといえば、事情はわかるだろう。
相合い傘ではご婦人も雨に濡れるので、礼をいって走った。
おかげさまで(?)まだ髪の毛は健在だ。
六本木ヒルズのあたりは知らぬが、
都心でも古くからの人が住んでいる地域には、
まだこんな人情が残っている。
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