幸せ残業
生活に保証のないフリーランスにとって、
仕事で忙しいのはまことにありがたい話である。
ワープロの出力をFAXでで入稿していた頃なんか、
プリンターのはきだす原稿がお札に見えたもんだ。
偽札つくってるような気分。幸せである。
それでも、仕事で忙しすぎるのはいけない。
社会人になって最初の年、日付の変わる前に帰宅して
「今日は早かったな」と思い、精神が病んできたと気づいた。
昼も夜もなく働けるのは幸せだが、それだけじゃいけない。
僕がハンググライダーをはじめたのは、そんな頃である。
どんなに焦っても風まかせの、どうしようもないスポーツだ。
毎晩遅くまで残業している若い編集者に、
「いま過労死したら、会社は裁判に勝てないだろうね」
といったことがある。励ましたつもり(?)だったのだが、
「どうして。裁判なんかおこすものですか」と反論された。
就職で苦労して、やっと忙しく働けるようになったのだから
いまの私はとても幸せです。忙しいなんて、苦にならないと。
ま、仕事が楽しいならそういう気持ちもわからないではない。
それが幸せだというなら過労死も本望かもしれぬ。
ただ、毎日のように楽しく残業している人がみな、
その編集者と同じように幸せかどうかは知らないが。
皆さん、しっかり夏休みがとれるといいですね。
********(外伝)***********
・・・・原稿がこねえから、編集は残業してんだよ!
おっ、てめー、人のせいにするんだな。
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