ネット通販は便利だが
1円でも安いものを買いたいと思うのは消費者として当然。
世界中の価格比較が簡単にできるインターネットは便利だ。
しかも自宅まで届けてくれるから手間いらずでもある。
だけど安ければ、手間いらずならばいいってもんじゃない。
昔、吉祥寺に西友ができたとき、その安さに驚いた。
それまでの吉祥寺には「名店会館」があるくらいで、
あとは地元の小商店がひしめくだけの街だった。
だけど母親は近所の商店で買い物をすることが多かった。
「西友で買えばいいじゃないか」と意見したこともあるが…。
「ボッてるんじゃねえ。持ちつ持たれつなのさ」
映画「紅の豚」で、燃料が高すぎるとボヤくヒロインに豚が。
母親も、それに似たことをいった。
小さなお店が、値段で西友にかなうわけがないじゃないか。
そんなことをいうほど生活に余裕があったとは思えないが、
だからこそ「値段だけじゃない」という言葉には重みがあった。
子供心にも、ぎりぎりで理解できた母親の心意気。
新刊書なんかはどこで買っても値段は変わらないが、
品揃えとスピードでは小さな書店はネット通販にかなわない。
僕もアマゾンとかにはずいぶん世話になっているが、
できるだけ近所の書店から取り寄せてもらうようにしている。
もちろん、わざわざ自宅まで届けてもらったりはしない。
受取りついでに小僧と本棚を眺めて買い物する楽しみを
宅配なんかでふいにしたくはない。
小僧、1歳のときから書店のおばさんとなかよしなんだ。
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