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2005/10/15

安物の貯金箱が欲しいわけじゃない

小僧が自分で管理する銀行口座を開設した。
僕が勝手に手続きしてきてもよかったんだが、
自覚を持たせるために一緒に銀行の窓口へ。

こつこつ貯めていた缶の貯金箱が一杯になったので
缶切りで開けて出した小銭が袋にどっさり。それに、
「おまえから預かっていたお年玉だ」というお札を数枚。
あわせても金額的には微々たるものだが、
大切に貯めたお金でいよいよ自分の銀行口座を開く。
もちろん銀行は、そのお金の重さをわかっているだろう。
ガキが大切に抱えてきた小銭袋の重さを。

で、手続きが終わると、
新しい貯金通帳に、ポケットティッシュが1個ついてきた。
さすがは世界一のメガバンクさまだ。
わかるぜ、本当に微々たる金額だというのはさ。
しかも慈善事業のつもりでやってる普通預金だもんな。
でもさあ、将来は上得意になるかもしれない新規顧客だぜ。
普通預金の利息数十年分のコストかもしれないが
ポケットティッシュがたったの1個か。

ちょっと迷ったけど、「なんかないですか?」と聞いてみた。
「はあ?」と窓口の係。察しが悪いなあ。
で、小僧の顔を見ながら、「貯金箱とか」。
「はあ…」といって、奥の方から持ってきてくれたよ。
だけど僕に渡そうとするから、また小僧の方を見て…。
なんか、自分がすんげえ強欲者みたいな気分になったよ。
たかが安物の貯金箱1個をもらうのにさ。

僕だって、安物の貯金箱が欲しいわけじゃない。
むしろ「また小僧のガラクタが増える」と気が重いくらいだ。
クスリ屋さんでもらうカエルとか象さんと同じ。
「どうもありがとう」といいながら、内心は「うへー」って。
だけどさ、子供はうれしいんだよ。
モノもそうだけど、気をかけてもらっているっていう実感がさ。
ひょっとしたら大人だって同じさ。たとえば御年賀の安物タオル。
こんなものもらっても、あんまり使わないよなあと思う。
だけど「今年もよろしくお願いします」っていう気持ちは伝わるよ。
プレゼントはモノ自体の価値とか必要性とかじゃなくて
そこにこめられた気持ち、気づかいが大事なんだよ。

「人生最初の銀行口座をうちで開いてくれたんですね。
どうもありがとう。これからもよろしくお願いしますね」って、
クソガキと強欲オヤジだなと後ろを向いてベロだしながらでもいい、
ニコニコと安物の貯金箱、いわれる前にくれればよかったのに。
単純なんだから、それで「銀行っていいな」と子供は思うかもよ。
そういうのが、わかんねえのかなあ。

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santex01
ユーロになる前の50フラン札。
サン・テグジュペリと星の王子さまをあしらっている。
「ゾウをこなしているウワバミ」まで描かれているのが素敵だ。

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