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2005/09/04

季節はずれのバレンタインデー

くわしい経緯は省略するが、1枚の紙がでてきた。
青い花柄の包装紙に「あせくんへ」と書いてある。
「なんだこれ?」としばらく考えて、血の気が引いた。
これは30年も昔の、バレンタインデーの包装紙だ。

自慢ではないが、昔からモテなかった。だから、
バレンタインデーにチョコレートをもらったことはほとんどない。
僕が十代のころは義理チョコなんていう習慣もなかったし、
あったとしても義理すらかけてくれる女の子がいたかどうか。
おかげで、もらったチョコレートのことは今でも覚えている。

最初にもらったのは中学1年のときだった。
しかし堂々と「もらったのだ」と自慢できるような話ではない。
放課後、サッカー部の練習を終えて教室に戻ったら、
同級生の女の子がしょぼんと一人残っていた。
どうやら本命男子にチョコレートをあげそこねたらしい様子。
「仕方ないから阿施にやるよ」と投げやりにくれたのだ。
カミさんは「照れかくしだったんじゃないの」といってくれたが、
可憐な、僕なんか相手にしそうな女の子じゃなかった。

高校に入ってからもチョコレートとはあまり縁がなかったが、
ある年のバレンタインデーから1週間もたってからのこと。
授業中に先生の話もロクに聞かず、
たまには机の中のゴミを整理しようとゴソゴソしていたら、
「なんだこれ?」と青い花柄の包装紙を見つけたのである。
「あせくんへ」と書いてあるだけで差出人の名前はない。
ひとり赤くなっている僕を見た隣の悪友が自分の机も捜したが、
チョコレートは入っていなかった。ヤツもモテなかったのだ。

結局、誰がくれたのかは卒業するまでわからずに終わった。
いまも誰だったかわからないが、あたたかい思い出だ。

しかし、まさか包装紙が残っていたとは…。
何度かの引越しのときにも、まったく気づかなかった。
でも、そのときは捨てられなかったんだね。
笑うなら、笑えばいい。どうせ、モテる人にはわからないよ。

kc02
同じ頃に初めて遠征した沖縄、嘉手納基地で撮影した
建国200年塗装(垂直尾翼先端とラダー)のKC-135。
その頃からこんなもん撮って、色気のない高校生だった。

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