肩書
ときどき「肩書はどうしますか」と聞かれる。
署名記事の名前の横に、必要だったりするのだ。
カメラマンというのが簡単だけど、文章仕事のこともある。
ジャーナリストですかといわれると、「さあ…」といってしまう。
評論家は怪しすぎるから勘弁してくださいとお願いしている。
そのうえで「なんでもいい」などというから担当者は困りきる。
サラリーマンなら自動的に肩書がつくからいいが、
フリーランスは自分で勝手に肩書をつけなければならない。
ずいぶん怪しいが、そんな肩書でも名刺に書くと納得される。
たとえば「カメラマン」と書けば、とりあえず安心してもらえる。
要するに何でもいいからあれば無難、というのが肩書だ。
いうなればネクタイみたいなものともいえようか。
立派なものでも、それで中身がわかるわけじゃないのだが。
バブルの頃、友だち5人で出資して作った会社の名刺。
それぞれに本業を持ちながらの片手間ではあったが、
飛行機で金儲けできるかもという夢はあった。
そこそこ成果はあったが大赤字のため2年ほどで解散。
でも、「取締役」の名刺を作れただけでも楽しかったな。
驚いたことに最近は子供にも肩書があるらしい。
たとえば、ただの「中学3年生」だけでは十分ではない。
公立か私立か、中高一貫か、偏差値はいくつなのか。
ここまで明かすと、少なくとも相手の親は納得しやすい。
「あら中高一貫の私立○○学院、偏差値70以上ですか。
それで偏差値60のうちのバカとおつきあいいただけるとは」
言葉にはしなくとも(する人もいる)、ハタ目にはこういう感じ。
もちろん相手が格下なら(言葉にしなくても)相応の態度に。
いや、格下だからといって馬鹿にするとは限らないんだが、
「公立だけど、いい子ね」などと、余計な肩書をつけてしまう。
どうせなら学校名と偏差値を書いた名刺でも持たせればいい。
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