進化の方向を誤る
最近のF-1の空力設計はすごい。
ワケのわからない曲面構成や空力デバイスの数々に、
「お~、すっげ~」とまずは圧倒され、ふむふむと感心し、
それぞれの意味を自分なりに考える楽しさがある。
それは、もはや飛行機の単純な延長では理解しきれない。
だが、考えているうちにアホらしくもなる。なぜだろう。
それはたぶん、F-1の存在自体が陳腐化しているからだ。
「タイヤとドライバーがむき出しのクルマで競争しましょう」
ごく単純化すれば、それがF-1レース。
「むき出し」に何の意味がある…とは、以前は考えなかった。
だが、そのために究極の人智と技術が投入されているのを見ると
「何のため?」と問い直さずにはいられない。
最近のF-1の空力デバイスの多くは、
無意味な条件下で勝つためのきわめて特殊な技術に思える。
最速のクルマをめざすでも、最良のクルマをめざすでもない。
ただ「むきだしで」という変なルールを追求するためだけに
特異な技術をどんどん先鋭化させているだけではないのか。
F-1の進化の方向性には、もう合理性が感じられないんだ。
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