秋をさがしに
小僧が低学年の頃の宿題は、なかなか素敵だった。
たとえば「秋をさがしてきてください」とか。
どんなものをさがしだせたかは、さほど重要ではなかった、と思う。
ただ「秋をさがす」という詩のような体験をさせたかったんだ。
だから、よく近くの公園とかに秋をさがしに出かけた。
落ち葉やどんぐりや松ぼっくりを、手に持ちきれないくらい拾った。
そんな思い出を作ってくれる素敵な宿題を、たくさんだしてくれた。
忙しいお父さんやお母さんには、ちょっと負担だったかもしれない。
でも、低い太陽の光が部屋の奥まで差し込んできたり、
家のなかにいても秋は感じられるものだ。
そんな発見や驚きを共有できるのは楽しい。
ただ、秋に人恋しくなるっていう気持ちがわかるようになるのは、
まだ少し先のことだろうな。
これは…大人になるまでの宿題。
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